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理解していますか? 「分散投資」 ~後編~

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資産形成において重要なキーワードである「分散投資」。しかし世の中の多くの一般の方(と残念ながらFPも)はこれを正しく理解していないように思われます。後編では分散投資の本当の意義を解説していきます。

前回のおさらい

まずは前回の内容をおさらいしましょう。前回提起した問題は以下です。
『「一つのカゴに卵を盛るな」とはよく言われるが、カゴを分けるとどれかが事故に逢う可能性は上がってしまう。ということは、分散投資とはリターンを少し犠牲にする代わりにリスクを低減しているだけではないのか』
実際にはこの考え方はどこが間違っているのでしょうか。

まずは結論から

結論:
分散投資の本質は「本来相反する"リスク"、"リターン"の関係を改善する」あるいは「リスク・リターンの関係をパレート改善する」ことである。より平易には、「リターンを減らさずにリスクを下げる」「リスクを増やさずにリターンを上げる」ことを可能にするのが分散投資の本質であると言えます。
参考:パレート改善 wikipedia

なぜこのようなことができるのか

一見すると不思議な感じがしますね。以下簡単に説明します。
例えば、株Aと株Bがあり、株Aを1年間保有していると期待的には3%の収益が見込めるものの、±5%のバラつきがあるものとします。※この状態を、株A=(3,5)と表現することにします。
すなわち、株Aの年間収益は-2%から+8%ということになります。同様に株Bは期待的には2%の収益、バラつきは±2%であるとしましょう。※すなわち株B=(2,2)と表されます。
投資においては収益は高いほうがよく、リスクは少ないほうが良いことは自明であると考えられるので、AとBを比較した際に期待収益率を見ると優れているのはA、バラつきを見ると優れているのはBです。したがってAとBのどちらに投資をするべきかは一概には言えないということになります。
ではここで、仮にAとBが完全に逆の値動きをするとしてみましょう。そうすると、Aへの投資が最大限に上手くいった場合(すなわちBは最大限の不調だった場合/以下シナリオ(ア)と表現することにします)、(Aの収益,Bの収益)=(8,0)となります。同様にAへの投資が最大限の不調でBが最大限の好調だった場合/シナリオ(イ)とします)、(Aの収益,Bの収益)=(-2,4)となります。またAもBもほどほどだった場合には(Aの収益,Bの収益)=(3,2)となります(シナリオ(ウ)とします)。

それでそれで?

この話のミソはここからです。少し頭を使って株Aと株Bを半分ずつ買っていた人がいるとすると、その人の収益はどうなっていたでしょうか? 単純な計算ですが、この場合はシナリオ(ア)においては収益4, シナリオ(イ)においては収益2.5, シナリオ(ウ)においては収益1を出せていた計算になります。 すなわち、「株Aと株Bを半分ずつ買う」という行為をあたかも「(実際には存在しない)株Cを買う」ことであるように見做した場合、株Cは期待収益率が2.5%、バラつきは±1.5%ということになり、収益率の高さとバラつきの低さの両方において株Bを上回ってしまっています(!!)。

再度結論

結論: 分散投資の本質は「本来相反する"リスク"、"リターン"の関係を改善する」あるいは「リスク・リターンの関係をパレート改善する」ことである。
今回は強い仮定を置いた例を用いて、分散投資の本質をちょびっとだけ紹介してみました。 前編・後編の2回にわたってなるべく平易に説明しましたが、実際にはこのような内容は大学レベルの数学を用いてより厳密に証明されます。また、今回の内容は現代における全ての機関投資家が意思決定をする際の基礎になる理論となっています。 興味のある方はぜひ学習してみてもらいたいところですが、一般の方々が余暇で学ぶには少々ハードルが高いようにも思います。 豊かな人生を送るためにはお金が必要ですが、余暇をあまりに犠牲にするのは本末転倒です。
お金の相談はぜひ力のあるファイナンシャルプランナーへ。


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