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今さら解説「老後2000万問題」

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2年前に話題になった「老後2000万問題」。今さら感のあるこの問題ですが、意外にも正しく理解している人が非常に少ないように感じます。今回はこの問題の誤解について解説していこうと思います。

老後2000万問題とは

令和元年、金融庁の金融審査会が「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を発表しています。この中に「65歳以降、20~30年間の老後を生きるために約2,000万円の老後資金が必要になる」という記述があり、「年金だけでは安心して暮らしていけないではないか」と当時はマスコミを中心に政府・政策を叩く道具になっていたように思います。
参考:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

問題の波及

マスコミが騒ぎ立てた結果、この問題は一時期世間で大きな話題になりました。老後2000万問題という言葉は今でも使われていますし、私もお客様から「65歳までに2000万貯めないといけないんですよね?」といった質問をよく受けます。また、実際にそういった説明から貯蓄型商品の提案に繋げているFPも数多くいます。しかし、この問題自体は誰もが知っている一方、正しく理解している人は非常に少ないように思います。 (それがこの記事を書こうと思ったきっかけでもあります)

さて、あなたは正しく理解していますか?

ここからが本題です。先述の理解は何が間違っているのでしょうか?
報告書内で2000万円という数字は現在65歳の方が公的年金以外で必要な金額となっています。つまり、現在の水準にて年金を受給した場合、老後に必要な自己資金が2000万だということが書かれています。
日本の年金制度は修正賦課方式(現役世代が支払った年金保険料を高齢世代に支給する原資に充てる)です。ますます超高齢化が進む21世紀の日本において、今後の年金支給額は変わらないのでしょうか。
すなわち、あなたが現在の高齢者と同水準の年金を受け取れるというシナリオは果たして合理的なのでしょうか?
※長くなってしまったので今回はここまで。将来の年金受給額のプラス要因、マイナス要因の話はまたそのうち

ではあなたの担当者は理解していますか?

ここまでのお話はプロのFPであれば少し考えればすぐに分かるはずです。
しかし、あなたの保険・証券の担当者はあなたに教えてくれたでしょうか?あるいは、ここまで考えて保険やポートフォリオを組んでくれているでしょうか?最低限、一次情報である報告書を読み込み、理解しているでしょうか?
頭を使って仕事をするプロが非常に少ないのが現在の業界の問題です。お金の相談は妥協せずに力のあるFPへ。


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